保険医療機関(医科、歯科、調剤薬局)への個別指導のブログ

厚生局の保険医療機関(医科、歯科、調剤薬局)への個別指導や監査について、情報提供を行います。

厚生局による接骨院への個別指導、監査の実例

ここでは、厚生局による接骨院への個別指導、監査の実例を4つ、ご紹介します。

 

柔道整復師への厚生局の指導監査の仕組みを知るためには、実際に受領委任の取扱いの中止の措置となった事例を多数理解することが近道です。どのような経緯で個別指導となるのか、監査に移行する流れはどうなっているのか、中止の措置は具体的にどの程度の不正のレベルでなされるのか、これらは、ケースバイケースであり、多数の事例を知ることで、相場観的なものがおぼろげながらわかってくることが期待できます。

接骨院への中止措置の流れなどは、医療機関への取消処分の流れとは異なる部分も複数見受けられますところ、双方の違いを知ることも、より深い接骨院への指導監査の理解に繋がると思われます。医療機関の個別指導の実例については、弁護士による以下のコラムが参考になります。

 弁護士による歯科医院の個別指導、監査のコラム

 

1 東海北陸厚生局の無資格者施術の情報提供での監査

柔整師の資格の無資格者が施術をしているという情報提供があり、東海北陸厚生局の監査となり、柔整師の監査拒否、監査の欠席で受領委任の取扱いの中止相当となった実例です。監査に欠席すると、中止などになることに加え、柔道整復師の資格の業務停止などの行政処分においても、不利に重く扱われ得るので、監査の出席を求められた場合は、ストレスでも、出席し対応することが望まれます。

 

【中止相当事例の経緯・概要】

東海北陸厚生局に、保険者から、接骨院で免許のない者が行った施術で療養費を請求していた疑いがあるとの情報提供があり、そこで、患者調査を実施したところ、無資格者が施術したもので療養費を不正に請求していることが疑われたことから、柔道整復師に対しての監査の実施に至りました。

 

東海北陸厚生局の監査の実施について、柔整師が、3回にわたり、正当な理由なく続けて監査を欠席したため、受領委任の取扱いの中止相当となりました。

 東海北陸厚生局の無資格者施術での監査

 

2 関東信越厚生局接骨院への個別指導、監査

生活保護法の指定取消し処分で不正請求が疑われ、関東信越厚生局の患者調査が実施され個別指導となり、監査、受領委任の取扱いの中止となった実例です。生活保護法の指定取消処分から受領委任の中止に結び付いており、あまり多くないケースという印象です。生活保護法の不正調査の手続きについては、最悪でも生活保護が利用できなくなるだけだと軽んじる風潮があるかもしれませんが、本例のように、健康保険の利用ができなくなることに繋がり得るため、生活保護の施術が売り上げに占める割合が低くても、決して軽んじることはできないことに留意する必要があります。

 

【中止事例の経緯・概要】

東京都は、接骨院に対して施術報酬の請求に係る不正(付増請求)が認められたことから、生活保護法に基づく指定施術機関の指定の取消し処分を行いました。その後、受領委任に係る被保険者についても付増請求が行われている疑いが生じたことから、関東信越厚生局と東京都が複数の患者に対して実地調査を行ったところ、実際の通院日数や負傷名等が療養費の請求内容と大幅に相違していることが確認されたため、接骨院において更なる不正請求が行われている疑いが強まり、そこで、接骨院に個別指導を実施したところ不正請求の疑義が生じたため、監査の実施に至りました。

 

監査では、実際に行った施術に行っていない施術を付け増して施術録に不実記載し療養費を不正に請求していたこと(付増請求)、療養費の支給対象外の症状に対して行った施術を支給対象となる負傷に対して行ったものとして施術録に不実記載し療養費を不正に請求していたこと(支給対象外の症状の不正請求)、業務上の負傷に対して行った施術を支給対象となる負傷に対して行ったものとして療養費を不正に請求していたこと(業務上の負傷の不正請求)、監査の中で報告を徴したにもかかわらず施術管理者は施術録を書き換えた上で虚偽の報告を行い再三にわたり正しい報告を求めたが最後までこれに応じなかったこと(虚偽報告)が確認・認定され、以上により、受領委任の取扱いの中止となりました。

 関東信越厚生局の接骨院への個別指導、監査

 

3 交通事故の不正請求(詐欺)と厚生局の監査

柔道整復師が交通事故の保険金詐欺未遂で逮捕され、その後、厚生局による健康保険の療養費の不正請求での監査となり、受領委任の取扱いの中止相当となった実例です。この事例のように、接骨院の施術に関する保険金請求で刑事事件となった場合、その後に厚生局の指導監査の枠組みでの中止の措置に繋がることが多く、また、保険金詐欺での有罪判決となった場合など、柔整師の免許・資格の行政処分(業務停止など)に結び付きますので、十分に注意する必要があります。なお、交通事故の不正請求については、損害保険会社が不正を調査し、指摘などしてくることがありますが、こちらについては、以下の弁護士のコラムが参考になります。

 交通事故の不正請求・保険金詐欺と損害保険会社の調査の弁護士のコラム

 

【中止相当事例の経緯・概要】

交通事故による接骨院への通院日数を水増しして、保険会社に請求し、保険金をだまし取ったとして、保険金詐取未遂容疑で逮捕したとの新聞報道があり、そこで、厚生局は、療養費についても不正に請求していることが疑われたことから、柔道整復師に対する監査に至りました。

 

監査の結果、架空請求、すなわち、施術を行っていないにもかかわらず施術を行ったものとして療養費を不正に請求していたこと、付増請求、すなわち、実際の施術日以外に施術を行ったものとして施術日数を付け増して療養費を不正に請求していたことがそれぞれ確認・事実認定され、そこで、受領委任の取扱いの中止相当となりました。

 交通事故の不正請求(保険金詐欺)と厚生局の監査

 

4 詐欺での有罪判決後の近畿厚生局の監査

柔道整復師が柔道整復施術療養費の詐欺で逮捕され、有罪判決となり、それにより近畿厚生局の監査が開始され、受領委任の取扱いの中止相当となった実例です。厚生局で不正請求が認定された場合、実際には故意があり刑法上の詐欺罪が成立しているケースも少なくないと思われますが、厚生局の中止の措置から刑事事件になることは原則としてはなく、逆に、刑事事件となり有罪判決なった場合は、厚生局の指導監査の枠組みから中止となることが多いことに留意する必要があります。

 

【中止相当事例の経緯・概要】

柔道整復施術療養費をだまし取ったとして、接骨院の経営者及び柔道整復師が詐欺容疑で逮捕され、その後、裁判所で被告両名に対し有罪判決が言い渡され判決が確定したことから、柔道整復師に対しての監査の実施に至りました。

 

監査の結果、施術を行っていないにもかかわらず、施術を行ったものとして、療養費を不正に請求していたことが確認・認定されたため、受領委任の取扱いの中止相当となりました。

 詐欺での有罪判決後の柔整師への近畿厚生局の監査