保険医療機関等(医科、歯科、薬局、柔整)の個別指導・監査

厚生局の保険医療機関等(医科、歯科、薬局、柔整)の個別指導や監査について、情報提供を行います。

令和元年台風第19号での一部負担金等の事務連絡について

令和元年の台風19号に関して、厚生労働省による、保険診療などの一部負担金の支払いが困難な患者さんについて、配慮することを定めるなどした事務連絡をご紹介します。医科、歯科の医療機関、薬局は、保険診療などにおいて、当該事務連絡を把握し、患者さんに理解のある対応をすることが求められます。

厚生局による医科などの保険医療機関への個別指導とは直接の関係はありませんが、保険診療において重要ですので、取り上げることと致します。

 

令和元年台風第 19 号に伴う災害の被災者に係る一部負担金等の取扱いについて


令和元年台風第 19 号に伴う災害の被災に関し、一部負担金、保険外併用療養費、訪問看護療養費、家族療養費又は家族訪問看護療養費に係る自己負担額(以下「一部負担金等」という。)の支払いが困難な者の取扱いについて、下記のとおりとするので、貴管下保険医療機関、被保険者及び審査支払機関等に対し、周知を図るようよろしくお願いしたい。なお、周知に当たっては参考資料の「医療機関・薬局向けリーフレット」及び「患者向けリーフレット」を各保険医療機関、避難所等に配布頂き、特に「患者用リーフレット」については、院内掲示、窓口での配布等を促して頂きたい。



1に掲げる者については、保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)第5条及び第5条の2、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和32年厚生省令第16号)第4条、高齢者の医療の確保に関する法律の規定による療養の給付等の取扱い及び担当に関する基準(昭和58年厚生省告示第14号)第5条及び第5条の2並びに指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成12年厚生省令第80号)第13 条の規定による一部負担金等の支払いを受けることを、2に掲げる期間猶予することができるものとする。なお、入院時食事療養費及び入院時生活療養費(保険外併用療養費及び家族療養費に係る食事療養及び生活療養に係るものを含む。)については、標準負担額の支払いを受ける必要がある。


1 対象者の要件
(1)及び(2)のいずれにも該当する者であること。


(1) 以下に掲げる被保険者又は被扶養者であること。
① 別紙1に掲げる市町村(特別区を含む。以下同じ。)の国民健康保険法(昭和33年法律第192号)第5条の被保険者(市町村国保の被保険者)
② 令和元年台風第19号に伴う災害に係る災害救助法の適用市町村に住所を有する高齢
者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)の被保険者であって、別紙1に掲げる後期高齢者医療広域連合の被保険者
③ 令和元年台風第19号に伴う災害に係る災害救助法の適用市町村に住所を有する者(被災以降、適用市町村から他の市町村に転入した者を含む。)であって別紙2に掲げる健康保険組合又は国民健康保険組合若しくは健康保険協会の被保険者又は被扶養者

 

(2) 令和元年台風第19号により、次のいずれかの申し立てをした者であること。
① 住家の全半壊、全半焼、床上浸水又はこれに準ずる被災をした旨
② 主たる生計維持者が死亡し又は重篤な傷病を負った旨
③ 主たる生計維持者の行方が不明である場合
④ 主たる生計維持者が業務を廃止し、又は休止した旨
⑤ 主たる生計維持者が失職し、現在収入がない旨

 

2 取扱いの期間
令和2年1月末までの診療、調剤及び訪問看護


医療機関等における確認等
上記1(2)の申し立てをした者については、被保険者証等により、住所が1(1)の市町村の区域であることを確認するとともに、当該者の1(2)の申し立ての内容を診療録等の備考欄に簡潔に記録しておくこと。
ただし、被保険者証等を提示できない場合には、
① 健康保険法又は船員保険法の被保険者若しくは被扶養者である場合には、氏名、生年月日、被保険者の勤務する事業所名、住所及び連絡先
国民健康保険法の被保険者又は高齢者の医療の確保に関する法律の被保険者の場合に
は、氏名、生年月日、住所及び連絡先(国民健康保険組合の被保険者については、これらに加えて組合名)
を診療録等に記録しておくこと。
なお、申し立てた事項については、後日、保険者から患者に対し内容の確認が行われることがある旨を患者に周知するようご協力いただきたい。

 

4 その他
本事務連絡に基づき一部負担金等の支払いを猶予した場合は、患者負担分を含めて 10 割を審査支払機関等へ請求すること。
なお、請求の具体的な手続きについては、平成25年1月24日付け保険局医療課事務連絡「暴風雪被害に係る診療報酬等の請求の取扱いについて」(別添)に準じて取り扱われたい。

 

暴風雪被害に係る診療報酬等の請求の取扱いについて


北海道における暴風雪被害に係る診療報酬の請求等の事務については、下記のとおり取り扱うこととするので、貴管下関係団体への周知徹底を図るようよろしくお願いしたい。なお、公費負担医療において医療券等を指定医療機関等に提示せず公費負担医療を受診した者の取扱いについては、公費負担医療担当部局等より、後日事務連絡が発出されるものであること。



1 被保険者証等を保険医療機関に提示せずに受診した者に係る請求の取扱い等について
(1)被保険者証等を保険医療機関に提示せずに受診した者に係る請求の取扱いについて
被保険者証等を保険医療機関に提示せずに受診した者に係る請求については、以下の方法により診療報酬の請求を行うものとすること。


① 保険医療機関においては、受診の際に確認した被保険者の事業所等や過去に受診したことのある医療機関に問い合わせること等により、また、窓口で確認した事項等により、可能な限り保険者等を記載すること。
② 保険者を特定した場合にあっては、当該保険者に係る保険者番号を診療報酬明細書(以下「明細書」という。)の所定の欄に記載すること。
なお、被保険者証の記号・番号が確認できた場合については、当該記号・番号を記載することとし、当該記号・番号が確認できない場合にあっては、明細書の欄外上部に赤色で不詳と記載すること。
③ 上記①の方法により保険者を特定できないものにあっては、住所又は事業所名、患者に確認している場合にはその連絡先について、明細書の欄外上部に記載し、当該明細書について、国民健康保険団体連合会(以下「国保連」という。)へ提出する分、社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)へ提出する分、それぞれについて別に束ねて、請求するものとすること。
なお、請求において、国民健康保険の被保険者である旨、国民健康保険組合の被保険者である旨及び後期高齢者医療の被保険者である旨を確認した者に係るものについては国保連に、被用者保険の被保険者等である旨を確認した者に係るものについては支払基金に請求するものとする。また、支払基金国保連のいずれに提出するべきか不明なレセプトについては、保険医療機関において、可能な限り確認した上で、個別に判断し、いずれかに提出すること。
④ 保険者が特定できない場合の診療報酬請求書の記載方法については、国保連分は、当該不明分につき診療報酬請求書を作成する方法(通常通り、国保分と後期高齢者分を区分してそれぞれ診療報酬請求書を作成すること)で、支払基金分は、診療報酬請求書の備考欄に未確定分である旨を明示し、その横に一括して所定事項(件数、診療実日数及び点数等)を記載すること。


(2)健康保険法(大正11年法律第70号)第75条の2等の規定により一部負担金の減免措置等を講じられたものに関する取扱い
健康保険法(大正11年法律第70号)第75条の2等の規定により一部負担金の減免措置等を講じられた者については、当該減免措置の対象となる明細書と減免措置の対象とならない明細書を別にして請求すること。(以下の事務連絡参照。)
なお、減免措置等に係る明細書については、明細書の欄外上部に赤色で災1と記載するとともに、同一の患者について、減免措置等に係る明細書と減免措置等の対象とならない明細書がある場合には、双方を2枚1組にし、通常の明細書とは別に束ねて提出すること。
ただし、同一の患者について、減免措置等に係る診療等とそれ以外の診療等を区別することが困難な明細書については、赤色で災2と記載することとし、被災以前の診療に関する一部負担金等の額を摘要欄に記載すること。
また、減免措置に係る明細書の減額割合等の記載については、「診療報酬請求書等の記載要領等について」(昭和51年8月7日保険発第82号)に基づき記載すること。
・災害により被災した被保険者等に係る一部負担金等及び健康保険料の取扱い等について(平成24年11月28日厚生労働省保険局保険課事務連絡)
・暴風雪被害により被災した国民健康保険被保険者に係る国民健康保険料(税)等の取扱いについて(平成24年11月28日厚生労働省保険局国民健康保険課・総務省自治税務局市町村税課事務連絡)
・暴風雪に伴う被害に係る後期高齢者医療制度の一部負担金及び保険料の取扱いについて(平成24年11月28日厚生労働省保険局高齢者医療課事務連絡)


(3)被保険者証等により受給資格を確認した者の取扱いについて
被保険者証等により受給資格を確認した場合については、従来通りの方法に加え、(2)の方法により行うものとすること。

 

(4) 調剤報酬等の取扱いについて
調剤報酬の請求及び訪問看護療養費の取扱いについても、上記と同様の取扱いとすること。
なお、調剤報酬に関し、窓口で住所又は事業所名を確認していない場合については、処方せんを発行した保険医療機関に問い合わせること等により、保険者の確認を行うこととし、平成25年1月以降の調剤分については、住所又は事業所名を確認すること。


2 レセプト電算処理システムの取扱いについて
レセプト電算処理システムに参加している保険医療機関等において、保険者が特定できない者等に係る診療報酬明細書等については、電子レセプトによる請求でなく紙レセプトにより請求すること。ただし、紙レセプトの出力が困難な場合には電子レセプトにより請求することも差し支えない。(電子レセプトにより請求する際には別添の事項を参考として記載すること。)

 

事務連絡は以上となります。

以上は台風第19号に係る事務連絡の1つめの事務連絡であり、令和元年11月30日の時点で、その12まで事務連絡が出されています。関東信越厚生局のウェブページで公開されています。

事務連絡の分量は大きく、医療機関や薬局の方は、すべてを理解することは難しいかもしれません。保険請求、個別指導関係の事務連絡の把握で精一杯かもしれません。しかし、被災地の地域の医療機関薬局の方は、個別指導や行政処分に関する適切な情報収集はもちろん、このような情報もできるだけ把握し、適切に医療機関等を運営していくことが望まれます。

現実的な対応としては、医師会、保険医協会など、保険請求に知見のある団体などに、また、(質問しづらいですが)保健所や厚生局などに、事後的に重大な誤りに気づくといったことがないよう、疑問点は積極的に確認していくことが重要です。